英国機密ファイルの昭和天皇

私は皇室ファンである。皇室の写真を掲示板(近頃は誹謗中傷が多いのが気になるが)で眺めたり、皇室ニュースがあるとすぐに飛びついてしまう。彬子女王(三笠宮)がイギリスに留学し、博士課程に身を置かれているということを知って、しかも博士号取得まで6年は滞在するという国会議事録を読んで、なんとなく親しみすら感じてしまった。
そういえば、なぜ皇族方は英国に留学されるのだろうか?

そんなわけで、このタイトルに惹かれて読んでみた。
戦前から戦後の歴史、しかも表にはなかなか見えてこない「人間関係」の部分をつぶさに書いた本だ。秩父宮のイギリス留学にまつわる思惑。面子と対面と、利害関係。皇族や華族ゆえに、まさに政治的な関係に巻き込まれ、一言一言の言葉や振る舞いがじわじわと国同士の関係に影響を及ぼしていく。貞明皇太后の一挙一動がイギリスに報告され、一方で日英関係を皇太后が把握している。船旅と電信の世界の情報戦では、人間関係が果たす役割は、今以上に重大だ。

独特のスタンスで、このストーリーに関わってくる白州次郎。意思決定が裏目に出る、若き日の吉田茂。彼らのエピソードもふんだんに書かれている。

遠い昔の話のように思う。だが、昭和天皇の十四歳下の弟宮、三笠宮親王殿下は今もご健在。今に連なる歴史の話だ。


英国機密ファイルの昭和天皇

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